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被爆の犠牲防いだ恩師 国民学校同窓会で感謝 南区

 広島市南区にあった旧青崎国民学校を卒業した79、80歳の13人が29日、同区のホテルで同窓会を開いた。原爆投下の日に市中心部で予定されていた建物疎開作業を中断した恩師の平岡(旧姓難波)和美さん(84)=広島市南区=を招き、あらためて感謝した。

 集まった卒業生は当時、高等科の1年生。うち7人は1945年の8月3~5日、爆心地から約1キロの竹屋町で作業していた。学校から徒歩で片道1時間かかったことから、平岡さんと故酒井盛正教頭が学校周辺での作業に見直すよう県に要請。県からは継続を求められたが、6日から竹屋町の作業中断に踏み切った。

 同窓会を呼び掛けた鍵本泉さん(79)=南区=は「こうして集まれるのは2人の先生の勇気ある決断のおかげ。感謝を伝えられて良かった」。平岡さんは「生徒を救えたことは今でもうれしい」と目を細めていた。

 平岡さんが同窓会に出席するのは6年ぶり。この日は、酒井教頭の次女国重久恵さん(80)=佐伯区=も初めて招いた。国重さんは「皆さんの元気な姿に父も喜んでいると思う」と涙を浮かべていた。(石井雄一)

(2012年5月30日朝刊掲載)

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