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南米被爆者健診 医師団が帰国報告 受診者増 体制づくりを

■記者 明知隼二

 南米5カ国での被爆者の健康診断のため、広島、長崎両県が4日から20日まで派遣した医師団が23日、広島県庁で記者会見した。85人を診察したが、高齢化の進展で来場できない被爆者も多く、今後の健診体制や現地の被爆者医療の充実を課題に挙げた。

 4年ぶりのブラジルのほか、ボリビア、パラグアイ、アルゼンチン、ペルーの計7都市を、2班に分かれて巡回した。受診者の平均年齢は74.5歳。多くに高血圧や高脂血症、糖尿病などの症状がみられた。1人に胃がんが見つかったほか、数人に肺がんの疑いがあることが分かり精密検査や治療の手配をした。

 広島県医師会常任理事の松村誠団長(59)は、健診の際の医師確保などで現地の医療機関と円滑に連携できたことに触れ「被爆者医療への理解が高まってきている」と述べた。

 一方、県によると南米5カ国には180-190人の被爆者がいるが、受診者は半分以下。有田健一副団長(59)は「健診会場を増やすなど、より多くの被爆者が健診を受けられる体制づくりが必要」と指摘した。

 南米での被爆者健診は国の在外被爆者支援事業の一環で、1985年からほぼ隔年で実施している。現地では、少なくとも年に1度、無料健診を受けられるよう求める声が高まっていることも報告され、県などは引き続き、国に実現を働き掛けることにしている。

(2008年10月24日朝刊掲載)

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