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原爆慰霊式 めど立たず 東広島被害者の会 高齢化・2世の活動低迷

 東広島市原爆被害者の会は、ことしの原爆死没者慰霊式を開くめどが立っていない。会員の高齢化と被爆2世でつくる部会の活動低迷が要因となっている。(森岡恭子)

 慰霊式は当初7月末を予定していた。しかし、会員が高齢になり運営から遠ざかっていたうえ、会長(86)がことし体調を崩した。被爆2世も少なく準備が進まなかったという。被爆2世で事務局を担う鈴木利宏さん(57)=東広島市高屋町=は「私も家庭の事情があり、思うように進められなかった」と話す。

 会は西条町など旧4町が合併し東広島市ができた1974年の数年後に発足。93年からは各地区であった慰霊式をまとめ、8月1日前後に開いていた。昨年は8月30日に開催がずれ込んだが、約80人が死没者名簿を奉納し花をささげた。

 県によると、市内で被爆者健康手帳を持つ人は2191人(3月末時点)。前年同期より149人減った。会は会費徴収はままならず、会員数も把握できない状態。鈴木さんによると総会を開けず、市内7地区にあった被爆者団体のうち豊栄と高屋町を除き活動実態がつかめないという。

 活動の継承に向けて2006年につくった被爆2世の部会も思うように参加者が増えない。鈴木さんによると最近は役員が集まる機会もない。鈴木さんは「慰霊式が途切れたら再開は難しい。形を変えてでも続けたい」と話している。

(2016年8月19日朝刊掲載)

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