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新藤兼人監督死去 創作意欲 最期まで

 新藤兼人さん死去を受け、新藤さんが設立した東京・赤坂の近代映画協会の事務所では30日、スタッフたちが問い合わせへの対応や、葬儀の手配などに追われた。

 同社には29日午前、新藤さんと同居する孫の新藤風(かぜ)さんから訃報が届いた。プロデューサーの石坂久美男さん(62)によると、新藤さんの様子がおかしいと感じた風さんが自宅にかかりつけ医を呼んだが、ほどなく息を引き取った。最近は昼間も眠っていたが、食欲はあり、テレビで大好きな相撲を見る時もあったという。

 公の場に出たのは4月22日に都内であった100歳の誕生会が最後。俳優たち出席者に「どうもありがとう。さようなら」とあいさつして会場を去った。

 この頃も「もう一本映画を撮っては」と勧められると、「つくりたいねえ」と応じ意欲を持ち続けていた。特に広島への思いは強かったという。石坂さんは「晩年も原爆の(悲惨さを伝えるために)爆発の瞬間を撮りたいと言っていたのに」と残念そうに話していた。(岡田浩平)

(2012年5月31日朝刊掲載)

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