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岸田外相 在職日数 戦後3位 故安倍氏と並ぶ1334日 

派閥関係者「首相への道 有利に」

 岸田文雄外相(広島1区)は20日、在職日数が1334日となり、安倍晋三首相の父親で戦後3位の故晋太郎元外相に並んだ。中国や北朝鮮、ロシアなどとの諸課題は山積し、培ってきた外交手腕を試される日々が続く。率いる派閥・宏池会からは「外相を長く務めれば、首相を目指すのに有利に働く」と期待する声も上がる。

 「各国のカウンターパート(交渉相手)と築き上げてきた強固な信頼関係を基に成果を積み上げたい」。3日の内閣改造で、首相の留任要請に応じた岸田氏は再任会見でそう強調した。

 10~12日は早速、フィリピンを訪問。中国が進出を強める南シナ海問題を巡り、協力を確認した。今後は、中国の海洋進出のほか、核・ミサイル開発を続ける北朝鮮への対応やロシアとの北方領土交渉、日中韓の首脳、外相会談の開催など、難題や重要局面が続く。世界の核軍縮、核兵器廃絶を、被爆国としてどう主導するかも問われる。

 2012年12月の第2次安倍政権発足から外相を務め、昨年12月には従軍慰安婦問題に関する日韓合意にこぎ着けた。主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に先立ち、ことし4月に広島市であった外相会合で議長を務め、5月にはオバマ米大統領の広島訪問にも貢献。存在感をみせてきた。

 将来の首相候補として宏池会には、党内の足場固めにも力を振り向けるよう求める声もある。今回の内閣改造では党三役への就任が取り沙汰されたが、外交の継続性を重視する首相に請われ、続投を決断した。一方、同じく「ポスト安倍」とされる石破茂氏(鳥取1区)は入閣を固辞。立場の違いが鮮明化した。

 在職2位は宏池会会長の先輩でもある故大平正芳元首相。会派内には「外相として実績を積み重ねることが首相への近道」(若手議員)との意見がある。岸田氏は「任期は長ければいいものでなく、何を成し遂げたかが重要。これまでの成果を基に、日本外交をさらに前に進めたい」としている。(田中美千子、野崎建一郎)

(2016年8月20日朝刊掲載)

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