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首相、米紙報道否定 核先制不使用「やりとりない」

 安倍晋三首相は20日、オバマ米政権が検討している核兵器の先制不使用政策について、自身が米軍幹部に反対の考えを伝えた、とした米紙の報道を否定した。米国が先制不使用の立場を取ることの是非については言及しなかった。

 ブラジルへの出国前に、羽田空港で報道陣の質問に答えた。米紙ワシントン・ポストは、安倍首相がハリス米太平洋軍司令官に先制不使用反対の意向を伝えたと報じた。これに対し、安倍首相は「先制不使用についてのやりとりは全くなかった」と打ち消した。

 その上で、安倍首相はオバマ米大統領の広島訪問へ5月に同行したことに触れ、「核なき世界に向け、共に強いメッセージと決意を表明した。着実に前進するよう努力を重ねていきたい」と強調した。

 米国の核兵器の抑止力である「核の傘」に安全保障を頼る日本政府内には、先制不使用採用への反対意見が多いとされる。安倍首相は、米国の核政策の転換については「まだ何の決定もしていないと承知している。米国政府と緊密に意思疎通を図っていきたい」と述べるにとどめた。(野崎建一郎)

(2016年8月21日朝刊掲載)

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