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中電回答「慎重に対応」 上関埋め立て 知事「当面進まず」

 中国電力は23日、山口県上関町で計画する上関原発建設を巡り、原発本体の着工時期の見通しがつくまでは海の埋め立て工事をしないよう要請した県に、回答文を提出した。「趣旨を重く受け止め、慎重に対応する。見通しがついたと判断できる状況になった時点で、県に相談する」との内容。村岡嗣政知事は「要請を誠実に受け止めてもらった。当面、埋め立て工事は進まない」と評価した。

 中電は2009年10月、埋め立て工事に着手したが、福島第1原発事故直後の11年3月15日に中断した。最大の焦点だった工事の再開時期について中電が県の要請を受け入れたことで、中電には「説明責任を果たし、県の理解を得る」という新たなハードルが課せられた形となった。

 工事再開の前提となる原発本体の着工時期について、中電は「どういう状況になれば見通しがついたと言えるのか、はっきりしたものはない」と説明する。当面は、原発の新規制基準に対応するための設備配置の見直しを進めるほか、陸上部分の地盤や地質調査の実施時期も探る方針だ。

 回答文はA4判1枚。中電山口支社(山口市)の松浦圭記(たまき)副支社長が23日午前、県庁で県商工労働部の末永睦理事に手渡した。松浦副支社長は「誠意を持って回答した」と述べた。

 県は3日、中電が公有水面埋立法に基づき申請していた、上関町の海を埋め立てるための免許の延長を許可。12年10月7日だった免許期限を19年7月6日に延ばした。同時に要請文を渡していた。(村田拓也、久行大輝、折口慎一郎)

上関原発
 中国電力が山口県上関町長島に計画し、改良沸騰水型軽水炉1、2号機の出力は各137万3千キロワット。埋め立て海域は約14万平方メートルで、中電は公有水面埋立法に基づき2008年10月、当時の二井関成知事から免許を受けた。中電は1年後に着工したが、福島第1原発事故の影響で中断。免許期限切れ直前の12年10月、3年延長を県に申請した。15年5月、ことし6月にも延長を申請。村岡嗣政知事が今月3日、一括して19年7月までの延長を許可した。

(2016年8月24日朝刊掲載)

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