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戦争ない地球 若い力で 中沢さん広島でトーク

 漫画「はだしのゲン」の作者で被爆者の中沢啓治さん(73)のトークイベントが5月27日、広島市西区の横川シネマであった。病気療養中のため車椅子で登場。集まった中高生や大学生たちに、原爆や戦争に対する思いを熱く語った。主なやりとりは次の通り。(増田咲子)

 ―若者に伝えたいことは何ですか。
 言論の自由がなく、がんじがらめの状態で戦争に突入した。自由にものが言えるありがたさを感じ、二度とあの世界に戻さないという強い決心で生きてほしい。

 ―なぜ(世界から)戦争はなくならないのでしょうか。
 欲を張るからいさかいが起きる。戦争や核兵器を利用して利権を得ようとする人間を育ててはいけない。国境なんかいらない。もっと若い人が世界に飛び出し、仲良く手を取り合って生きられる地球をつくるべきだ。

 ―福島第1原発事故についての考えは。
 放射線の影響を広島はきちんと実証しないといけない。チェルノブイリに行った時、原発は人間の手で制御できる段階ではないと思った。地震大国の日本で原発がたくさんあるのは狂気の沙汰。安全なエネルギー源をつくり、核兵器の基にもなる原発をなくしていく努力を続けてほしい。

 ―若者が平和のためにできることは何だと思いますか。
 平和憲法をしっかり守り、何があっても戦争と核兵器はなくしていくと誓ってほしい。僕は次の世代に希望を持っている。僕の目に焼き付いている戦争と原爆の実態を少しでも皆さんに見てもらい、引き継いでほしい。

(2012年6月4日朝刊掲載)

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