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上関埋め立て 中電「慎重」回答 

推進派「できる作業に着手を」/反対派「やりとり納得できぬ」

 中国電力上関原発建設計画に伴う上関町での公有水面埋め立て免許の延長許可を巡る県の要請を受け、中電が「慎重に対応する」と回答した23日、地元の評価は分かれた。計画推進派は「原子力を契機としたまちづくりを一日でも早く」と期待感を高めたのに対し、反対派は「このやりとり自体に納得がいかない」と強く反発した。

 県は3日、中電が3度にわたって申請した埋め立て免許の延長を許可。その際、「原発本体の着工時期の見通しがつくまでは埋め立て工事をしない」よう中電に要請した。国が新増設を「想定していない」とする中で判断の先送りを続けてきた県の方針転換に、地元は激しく揺れている。

 推進派は、中断した準備工事を再開させる環境が整ったとして、県の許可を歓迎。中電側のこの日の回答についても、上関町まちづくり連絡協議会の古泉直紀事務局長(58)は、「県の要請を踏まえた判断だ」と評価した。2030年の電源構成比率も念頭に、「できる作業から手を付け、本体工事を急いでほしい」と望んだ。

 柏原重海町長は許可について「いきなり何かが変わるわけではない」としており、この日の中電の回答も「事実として受け止めるだけ」と淡々と述べた。

 一方の反対派。県が許可した2日後に県庁で抗議行動を繰り広げるなど、容認できないとの姿勢を貫く。上関原発を建てさせない祝島島民の会の清水敏保代表(61)は「慎重な対応など当たり前。回答以前の問題だ」と非難し、「これまで以上に阻止へ力を入れたい」と語気を強めた。(井上龍太郎)

(2016年8月24日朝刊掲載)

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