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企業版ふるさと納税活用 広島市方針 1月に申請へ

旧日銀広島支店の保存修理/「平和の丘」再整備

 広島市は、平和関連の2事業に「企業版ふるさと納税」制度を活用する方針を固めた。被爆建物の旧日本銀行広島支店(中区)の保存修理と、比治山公園(南区)の「平和の丘」への再整備。企業からの協力の見込みが立てば、来年1月に国へ認定申請する。(渡辺裕明)

 市の計画では、旧日銀広島支店は原爆の爆風で吹き飛んだガラス片による傷痕などを残した上で、内部を主に建設当時(1936年)の姿に復元する。来年度に着工し、工期は3年を予定。市重要文化財の建物の価値を高め、国重文の指定を目指す。

 一方、比治山公園では、「平和への思い」を共有できる場とする構想を描く。広島を訪れた著名人らの言葉を刻んだ碑や、案内板の設置が具体事業の候補という。本年度に作る基本計画に沿い、来年度以降に展開する。

 いずれも事業費は現時点では未定。市は財源確保へ、企業が寄付すれば減税の優遇措置が受けられる企業版ふるさと納税の対象事業として認定を得ることにした。今月2日から市のホームページで寄付の呼び掛けを始め、これまでに1社から問い合わせがあった。今後、対象事業の追加を検討していくという。

 市が企業版ふるさと納税制度を活用するのは初めて。通常のふるさと納税では先月、寄付金の使途を平和関連に限ったコースを設けている。政策企画課は「オバマ米大統領の広島訪問を契機に、国内外の多くの人々が広島を訪れる可能性が高まった。平和の尊さを実感してもらう取り組みの推進へ、より多くの協力を得たい」としている。

企業版ふるさと納税
 企業が本社所在地以外の自治体の地方創生関連事業に寄付すると、寄付額の約6割分が税金から差し引かれる仕組み。国が本年度、企業の多い首都圏に偏る税収を地方に移す狙いで創設。活用には国の認定が必要で、自治体は1社以上から寄付が受けられる見込みが立った場合に申請できる。今月、第1弾で全国の6県と34道府県の81市町村の計102事業が認定された。

(2016年8月25日朝刊掲載)

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