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艦載機移転 捉え方焦点 山口県知事承認後に決定

 米海兵隊岩国基地(岩国市)の滑走路沖合移設に伴う公有水面埋め立てを国に認めたのは違法として、基地周辺住民が県知事に承認取り消しなどを求めた訴訟の判決が6日、山口地裁で言い渡される。当初の承認後、空母艦載機移転が決まった。その後の追加手続きも承認した県の行為の妥当性をめぐる司法の判断が注目される。

 埋め立てをめぐり、承認した県は住民たちと係争中の2008年5月、国から完工通知を受けた。滑走路は10年5月から運用が始まっている。

 訴状などによると、県知事は1996年、公有水面埋立法に基づき国から申請された埋め立てを承認した。しかし06年の日米両政府による在日米軍再編最終報告で艦載機59機を厚木基地(神奈川県)から岩国基地に移転することが盛り込まれた。

 08年1月、艦載機移転に伴い一部地域で騒音が増すなどとする添付図書の変更申請が国からあり、県知事は同年2月に承認した。

 争点の一つは艦載機移転という新たな事態の捉え方。原告側は県に対し、「艦載機が岩国基地の滑走路を利用するのは、墜落事故回避や騒音軽減という当初の目的を大きく逸脱している」と承認取り消しを求めている。

 県は「騒音や安全性の改善という目的に変わりはない」としている。

 もう一つが手続きの適切性。公有水面埋立法は、埋め立て地の用途を変える場合、縦覧や首長への意見聴取などを義務付けている。

 県知事は08年の国からの申請後、1カ月の内部協議で承認。県側は「飛行場用地とする埋め立ての用途自体は変更対象とはなっていない。手続きは適法」とし、棄却を主張する。

 原告側は「艦載機移転は明らかに用途の変更。法に基づく縦覧や意見聴取をせずに変更を承認したことは違法行為」と訴えている。(酒井亨)

(2012年6月5日朝刊掲載)

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