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米軍機低空飛行 被害救済を検討

 島根県の溝口善兵衛知事は5日の記者会見で、主に県西部で急増している米海兵隊岩国基地(岩国市)の米軍機の低空飛行を受け、被害住民の救済方法を検討していく考えを明らかにした。「被害を受けられた方に対して何らかの配慮が必要」と、防音対策など適切な対応を国に働き掛ける考えを示した。

 溝口知事は、低空飛行に伴う騒音苦情が相次いでいる点を問題視。「通常の飛行機の騒音で考えられるような、音を遮断する対策も一つのアイデア」と述べた。

 財源については「原因者が負担するのが原則」と指摘。あくまで米国と地位協定を結ぶ国が負担すべきだとの考えを強調した。

 一方、米軍機の低空飛行については、県が集計した2011年の目撃・騒音苦情240件に対し、米軍側が把握する同年の県内上空を通過した飛行件数は12件。「相互の主張が食い違っており、低空飛行の被害が十分に伝わっていない」(県総務部)のが実情だ。

 このため県は、騒音数値の測定などを通じて被害実態を正確に把握して国に伝える方針。さらに「飛行ルートの変更など防音対策なしでも解決できる現実的な方法も模索したい」(大国羊一危機管理監)という。

 中国地方では、山口、鳥取両県の基地周辺4エリアで、周辺住宅の窓ガラスの防音工事に対し、国が原則全額を補助する制度を設けている。(樋口浩二)

(2012年6月6日朝刊掲載)

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