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工事妨害訴訟 和解へ 上関原発 中電、賠償を求めず

 山口県上関町で計画する原発建設に伴う埋め立ての準備工事を妨害されたとして、中国電力が計画に反対する同町祝島の住民たち4人に総額約3900万円の損害賠償を求めた訴訟で、30日に山口地裁である協議で和解する見通しとなったことが27日、分かった。6年8カ月余りに及んだ裁判が終結する。

 和解の条件は、原告側が被告側に賠償を求めない代わりに、被告側は工事現場となる海で海上交通の法規を守り、中電が管理する敷地や海岸線に無断で立ち入らないなどとしている。

 27日に祝島公民館で、被告の清水敏保さん(61)や被告側の代理人弁護士が支援者に和解の条件や裁判の経緯を説明。次回協議での和解への賛同を得た。

 原告の中電側の代理人弁護士の一人は「被告側の新たな主張や反対がない限り、30日に和解するつもりだ」と説明していた。中電上関原発準備事務所は「係争中の裁判については答えられない」としている。

 中電は2009年11月、同町の埋め立て予定海域などで、清水さんたちが同社側の業者の作業船をシーカヤックで囲んだり、作業船に乗り込んだりして妨害したとして同12月、4人に総額約4800万円の損害賠償を求める訴えを山口地裁岩国支部に起こした。計画反対派に対する初の損賠請求訴訟で、11年からは山口地裁で審理。12年に請求額を約3900万円に減額し、昨年夏から和解に向けた協議をしてきた。(原未緒、井上龍太郎)

(2016年8月28日朝刊掲載)

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