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禎子の鶴 真珠湾へ 遺族要望実現 記念館に常設

 広島市中区の平和記念公園にある原爆の子の像のモデルで、12歳の時に白血病で亡くなった佐々木禎子さんが病床で折った折り鶴が、米ハワイ州の真珠湾国立公園にあるアリゾナ記念館ビジターセンターへ贈られ、常設展示されることが決まった。

 禎子さんの兄雅弘さん(70)=福岡県=が代表理事を務める東京のNPO法人「SADAKO LEGACY(サダコレガシー)」が7日、発表した。

 寄贈するのは雅弘さんが保管していた5羽のうちの一つで、約1センチの大きさ。禎子さんが回復を願いながら、キャラメルの包み紙で折った。9月、現地で寄贈式が開かれる予定だ。

 原爆投下を命令したトルーマン元米大統領の孫クリフトン・トルーマン・ダニエルさん(55)がセンターに働き掛けた。知人を介して知り合った雅弘さんの寄贈の意向に賛同したという。

 記念館は、太平洋戦争の真珠湾攻撃で沈没した戦艦アリゾナの上に立つ。雅弘さんは「原爆で亡くなった少女の折り鶴を太平洋戦争のきっかけになった場所に置きたかった。日米の『心の終戦』の第一歩になれば」と話している。

 雅弘さんはこれまでにも、米ニューヨークの米中枢同時テロの追悼施設、オーストリアの平和博物館に1羽ずつ寄贈している。(田中美千子)

(2012年6月8日朝刊掲載)

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