×

ニュース

毒ガス製造被害 3団体解散状態 大久野島 高齢化や体調不良 竹原

 大久野島(竹原市忠海町)の毒ガス製造の被害者でつくる8団体のうち、3団体が「解散に近い状態」に陥っていることが分かった。高齢化や体調不良で、健康相談、情報交換などが困難になり、役員のなり手も見つからない団体もある。各団体から聞き取り調査をした竹原市が、31日に市役所であった代表者会議で報告した。

 市の担当者は8月10~29日、各団体の代表者に面会した。うち大久野島瀬戸田親睦会(尾道市瀬戸田町)は「10月の慰霊式後に解散する」と回答した。忠海分廠(ぶんしょう)動員児童の会(竹原市忠海中町)は「4年前に事実上は解散している」と答えた。大久野島毒ガス障害者三原地区親睦会(三原市田野浦)は「役員5人のうち1人でも欠けたら解散せざるを得ない」と危機感を募らせる。

 他に会員数の減少が目立つ団体もある。大久野島毒ガス障害者互助会(竹原市忠海東町)は3月末で293人だったが、5カ月で約1割減の265人になった。会費の支払いをやめるケースもあるという。役員については、8団体すべてが「次のなり手がいない」と答えた。

 ことし4月に旧忠海分廠動員学徒の会(竹原市忠海中町)が解散。残る8団体は統合へ向け協議している。統合について「死没者名簿の管理はできるのか」「退会者が増えるかもしれない」などの不安があることも調査で分かった。

 大久野島学徒親和会(三原市本郷町)の神明正明会長(84)は25日に市担当者と面会した。「次の役員がいないので統合をせざるを得ないが、その後も会員が相談しやすい体制づくりが必要だ」と指摘した。(山田祐)

(2016年9月1日朝刊掲載)

年別アーカイブ