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被爆前のまち 記憶残す 広島の市民団体 証言集

 広島市の市民団体、ヒロシマ・フィールドワーク実行委員会は、原爆で壊滅した旧中島地区の住民の被爆前の記憶を収めた冊子を自費出版した。

 タイトルは「証言 生きている町」。今の平和記念公園(中区)一帯にあった材木町や中島本町で暮らした6人の証言を収録。友人とかけっこや川遊びをした逸話が、当時の何げない日常を伝える。

 父親が材木町で靴下工場を営んでいた平野隆信さん(80)=安芸高田市=は、原爆投下後に疎開先から市内へ戻った時の様子を「体が震えて、恐ろしくて」と振り返っている。

 公園内北側にあった慈仙寺で遊ぶ子どもたちの様子など40枚の写真も載せている。

 実行委は2007年から証言集を作っており6冊目。中川幹朗代表(57)=南区=は「町の形は消えても記憶の中に生き続ける。原爆投下の下にどんな暮らしがあったのか思いを巡らせてほしい」と話す。A5判、72ページ。旧中島地区の復元地図付き。800円。実行委Tel082(255)1923。(益田里穂)

(2016年9月3日朝刊掲載)

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