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北陸電志賀原発の事故想定訓練 30キロ圏外へ1150人避難

 石川、富山両県は9日、北陸電力志賀原発(石川県志賀町)の事故を想定した原子力防災訓練を合同で実施した。福島第1原発事故を踏まえた政府による防災対策重点地域の拡大方針を受け、全国で初めて30キロ圏外へ住民が避難。中国電力島根原発(松江市鹿島町)が立地する島根県も職員3人を派遣し、広域避難の課題を学んだ。

 大地震で志賀原発2号機が冷却機能を喪失、放射性物質が外部に放出されたとの想定。国や北陸電力、自衛隊など269機関と住民の合計2550人が参加した。

 金沢市の石川県庁に設けた災害対策本部が富山県氷見市を含む30キロ圏内5市4町に事故の状況を伝達。住民計1150人が圏外の金沢、輪島市などにバスや自家用車、海上保安庁の船舶で避難した。

 事故発生後すぐ避難する必要のある原発5キロ圏の予防防護措置区域(PAZ)では小学生70人がバスで逃げ、特別養護老人ホームでは模擬避難をした。

 避難所となった原発から南約50キロの金沢市の体育館では、到着した住民が放射性物質の付着状況を調べるスクリーニングを受けた。広島大から派遣された技術員が除染のポイントなどを指導した。

 島根原発30キロ圏の住民避難計画を作成中の島根県原子力安全対策課の山崎功課長は「避難手順と各機関の連携を確認できた」と収穫を語った。一方で「自治体対応には限界があり、国は早く移動手段の確保策やオフサイトセンターの設置基準を示すべきだ」と課題も指摘した。(樋口浩二、山本洋子)

(2012年6月10日朝刊掲載)

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