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相手に好奇心持ち、理解すれば受け入れられる 舟入高・平田さん 10ヵ月インド留学

 舟入高2年の平田駿輔さん(17)=広島市西区=が昨年夏から約10カ月間、インドに留学した。異文化の中での生活は驚きの連続だったが、相手を知り自分が環境に飛び込むことで親しんだ。被爆の事実も伝え、自身がヒロシマを学び直し、草の根での国際理解を進める大切さにも気付いた。

 インド西部のラジコット市に、2015年7月から滞在。空港からホストファミリーの「お父さん」の運転するバイクの後ろに乗った。ヘルメットもなく、クラクションの鳴り響く中を家へ。家族に額に赤い印をつけてもらい歓迎された。

 ホームステイ先は、殺生を禁じるジャイナ教の信徒だった。肉も魚も卵も食べない生活。「家族の気分を悪くさせたくない」と平田さんも耐えた。アリが家の中に入っても、紙の上に乗せて外へ逃がした。学校では、高校2年のクラスに入り、放課後はサッカーをして友達の輪を広げた。

 ヒロシマ、ナガサキの知名度は高く、「広島出身」と言うと相次いで質問された。「放射線の影響は今もあるのか」「米国人は嫌いか」「被爆2世への影響は」。原爆資料館で勉強してから来たが、最初は英語でうまく説明できず、もどかしかった。それでも徐々に話せるようになった。「多くの人が亡くなったが、今も放射線の被害で苦しむ人はいる」

 相手に好奇心を持ち、理解することで、自分も受け入れてもらえると感じた10カ月。「インド人の温かさに触れ、人がより好きになった。英語を学び、さらに広島を知ってもらえるよう努めたい」と話す。

 出発前から相談に乗っていた市民グループ「インドチャイ倶楽部(くらぶ)ひろしま」代表のジェームス・ジョーセフさん(59)=東広島市=は「よく挑戦して壁を乗り越えた。お金では買えない体験をしたのではないか」と喜んでいた。(山本祐司)

(2016年9月5日朝刊掲載)

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