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雨域の範囲や健康被害訴え 「黒い雨」訴訟 原告側

 広島の原爆投下後に降った放射性降下物を含む「黒い雨」を浴びて健康被害を受けたのに、被爆者健康手帳などの交付申請を却下したのは違法として、広島市や広島県安芸太田町などの男女計64人が、市と県に却下処分の取り消しを求めた訴訟の第5回口頭弁論が7日、広島地裁であった。原告側が黒い雨の降った範囲や健康被害について訴えた。

 原告の代理人弁護士2人が準備書面の要旨を説明。学識経験者の研究論文を基に、爆心地から北西約45キロ、東西方向の最大幅約36キロに広がったとされる雨域を説明した。放射線による健康被害のメカニズムにも触れ、「黒い雨が降った地域に住んでいた原告たちが、外部被曝(ひばく)や内部被曝したことは明らか」と強調した。

 これまでの弁論で、市と県は「黒い雨が降ったとされる地域に高濃度の放射性物質が降下したとの事実は認められず、現実に健康被害が発生したとの科学的知見が存在しない」などと主張している。

(2016年9月8日朝刊掲載)

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