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福島県産綿糸の手袋を商品化へ 福山の福徳産業 長期目線で復興支援

 手袋製造の福徳産業(福山市、細田信彦社長)は、福島県いわき市の「いわきおてんとSUN企業組合」と連携し、福島県産のオーガニックコットンの綿糸で手袋を試作した。東日本大震災の復興につなげるビジネスとして続けようと、商品化を計画している。(榎本直樹)

 細田社長は被災地の支援を考える中、補助金などの短期的な支援ではなく、商品の生産から販売の一貫した仕組みが必要と考えた。昨年12月に東京であった環境展示会で、オーガニックコットンを生産している企業組合と出合った。

 今年4月にいわき市を訪れ、綿糸で手袋を作ろうと提案した。試作したのは冷え性や手荒れに悩む女性のための手袋。ハンドクリームを付けた後、寝る時に使ってもらう。

 福徳産業は作業用手袋の生産量で国内トップ。細田社長は「復興は長い時間がかかる。長期的なビジネスに育てたい」と話す。製造は関連会社が担う。

 企業組合は東京電力福島第1原発事故後、農業をやめる人が相次ぐ中、2012年に「ふくしまオーガニックコットンプロジェクト」を始めた。農家から綿花を買い取り、手拭いやTシャツなどにして販売している。

 昨年収穫した原綿は約200キロとまだ十分ではない。米国産のオーガニックコットンも混ぜている。同組合の吉田恵美子代表理事は「手袋という発想はなかった。提案はとてもありがたい。何とか売り先を確保したい」と意気込んでいる。

(2016年9月9日朝刊掲載)

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