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遺構保存 ヒロシマに学ぶ 石巻の検討会議 原爆ドームなど視察

 宮城県石巻市が設置した東日本大震災の震災遺構検討会議のメンバー14人が10日、広島市を訪れて被爆建物を視察した。原爆ドーム(中区)や袋町小平和資料館(同、旧袋町国民学校)などを巡り、津波と火事で被災した石巻市立旧門脇小校舎の保存の手法や活用策を探った。(新谷枝里子)

 元原爆資料館長で被爆者の原田浩さん(77)=安佐南区=が案内役を務めた。原田さんは広島市が原爆遺構の保存を決めた経緯や、保存費用を巡って市民の間で議論があったことなどを解説。その上で「壊したら元に戻せないだけに、継承すべきだ。建物というハードを残すだけでなく、証言の収集などソフトの充実も欠かせない」と強調した。

 石巻市によると、旧門脇小では震災当時、学校に残った児童は適切な避難で全員助かったが、児童数減少で2015年3月末に閉校。市は校舎を一部保存する方針で、整備計画に市民の意見を反映させるため、ことし7月に検討会議を設置した。

 メンバーの一人、浅野清一さん(68)は「旧校舎の前は住宅街になる予定で、被災した校舎を見たくないから撤去をと、考える人もいる。広島の例を参考にどう生かせるか考えたい」と話していた。

(2016年9月11日朝刊掲載)

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