×

ニュース

原爆症認定 現制度廃止か改善か 厚労省検討会

 厚生労働省の原爆症認定制度の在り方に関する検討会の第12回会議が12日、省内であった。中間とりまとめの議論に入ったが、現行制度の廃止、新援護策を求める日本被団協と、現行の改善を基本に考える委員とで意見が対立、紛糾した。

 事務局が議論を整理した文書を提示。制度の在り方をめぐり、現行の不備を改善する▽全面的に見直す▽原爆症に準ずる新基準を追加する―などに意見が割れているとした。

 日本被団協の田中熙巳(てるみ)事務局長は、制度の在り方は根幹に関わる問題と主張。「手直しでは良い方向に近づけない」として、放射線起因性を認定要件とする被爆者援護法の規定の削除と、新制度の創設を主張した。放射線影響研究所の長瀧重信元理事長も根本の議論の必要性を指摘した。

 一方、荒井史男弁護士は「根本が違うと各論に入れない。現行制度を良くする発想で意見をまとめられないか」と強調。一部の委員も同調した。座長の神野直彦・東大名誉教授は「現行制度をより良くする方向で議論を進めるが、修正だけでは無理という意見もあると認識しておく」と引き取った。次回28日にとりまとめ案を示し、来月の次々回会議での決定を目指す。(岡田浩平)

(2012年6月13日朝刊掲載)

年別アーカイブ