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被爆語る絵本 西区のNPO 市立全小中校に寄贈

 被爆者でオーストラリア・シドニーに暮らす絵本作家森本順子さん(80)=広島市出身=の絵本「わたしのヒロシマ」の日英2カ国語版が、市立の全小中学校206校にそれぞれ40冊ずつ贈られることが決まった。広島市西区のNPO法人HPS国際ボランティアが、平和学習の教材として贈る。(鈴中直美)

 森本さんは13歳のとき、現在の西区三篠町の自宅で被爆。絵本には、生々しい被爆体験だけではなく、被爆前の広島の様子や家族との穏やかな日々も描かれる。

 「絵本の中の私と同じ年頃の子どもたちに、戦争とはどういうことかを深く考えてほしい」と森本さん。1987年にオーストラリアで英語版を出版。現地でも平和学習に使われている。

 2カ国語版は2010年6月に完成。森本さんの思いに応え、友人で被爆者の佐藤広枝さん(73)が理事長を務める同NPO法人が刊行した。今回、「被爆者が世を去ったとき、この絵本が重要な役割を担うはず」(佐藤さん)と、教材用に改訂版を企画。自己資金に市の補助金を加え1万部作った。読みやすいよう英字を大きくしている。

 22日に広島市役所で贈呈式がある。30日には森本さんを招き、中区の市まちづくり市民交流プラザで原画展とサイン会を開く。佐藤さんTel090(7895)5366。

(2012年6月13日朝刊掲載)

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