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在日・在韓被爆者 歩み残す 民団広島 70年史資料集編さん・刊行 

文書や写真収録 苦難や活動まとめる

 「韓国人原爆被害者70年史資料集」を、在日本大韓民国民団(民団)広島県地方本部(李英俊(イ・ヨンジュン)団長)が編さん、刊行した。日本の植民地支配のもと原爆に遭い、解放後も苦難を強いられた在日・在韓被爆者の歩みや、市民と連帯しての活動を本格的にまとめた。希望者に配布する。(西本雅実)

 資料集はA4判156ページで1100部を作成した。

 同本部韓国原爆被害者対策特別委員会委員長の朴南珠(パク・ナムジュ)さん(83)を代表に編集委員会をつくり、亡くなった関係者の証言や本部所蔵の資料も掘り起こした。

 朝鮮人は1945年8月6日に広島で推計約5万人が、同9日には長崎で約2万人が被爆したともいわれる(ソウルの韓国原爆被害者協会の72年発表)。

 広島にとどまった被爆者らは63年、特別委の前身である「母国被爆同胞救援対策委員会」を設け、核兵器禁止平和建設国民会議の協力も得て71年に医師団を派遣。さらに73年、在韓被爆者が集中した慶尚南道陝川郡に診療所を開設。その後も民間レベルの招請治療や三菱徴用工の遺骨送還、現在の被爆者援護法の適用に向けて活動を続けた。

 地元では70年、韓国人原爆犠牲者慰霊碑を本川橋西詰め(中区)に建立し、99年に対岸の平和記念公園内に移設を果たした。資料集は、韓日にまたがる長年の苦闘や支援者らとの活動を詳述し、関連する文書や写真を収録している。

 編集委員を務めた権俊五(クォン・ジュノ)さん(67)は「先人たちの足跡を体系的に残し、なぜ被爆者となったのか、どう生き抜いてきたのかを広く伝えたい」と話し、韓国語や英語の翻訳も進めたい考えだ。

 購読希望者には送料込み千円で配布する。連絡先は民団県本部Tel082(264)2345。

(2016年9月14日朝刊掲載)

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