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受け入れ態勢 追われる長門 日露首脳会談 12月15日 客室確保や警備に腐心

 安倍晋三首相がロシアのプーチン大統領と長門市で12月15日に会談すると表明したのを受け、地元の温泉地や市が対応に追われている。「ロシアの要人を迎えるのは初めて」と戸惑う声が漏れる一方、市は「国内外にPRするまたとない機会」と捉え、魅力発信に力を入れている。(原未緒)

 ロシア極東ウラジオストクであった首脳会談後の2日夜、長門市深川湯本の湯本温泉のホテルや旅館には予約の電話が相次いだ。ホテルの社長男性は「『長門市で首脳会談』というテロップがテレビに出てすぐ電話がかかってきた」と驚いた。報道機関や外務省関係者の予約が続き、13~15日は満室に。「忘年会シーズン前の12月の平日に満室が続くことはめったにない。有り難い」と喜ぶ。

 湯本温泉では旅館協同組合の加盟11館のうち10館がすでに15日は満室。その前後も予約しにくい状況という。同組合は8日夜、臨時の会合を開き、警備関係者の予約を受け入れられるよう、部屋繰りについて話し合ったという。同組合事務局は「まだ具体的な話は聞いていないが、もしプーチン大統領が湯本にいらっしゃるなら大変名誉なこと」と歓迎した。

 ロシアの要人警護は初めてという山口県警警備課の担当者は「どのようにすればいいのか…」と少し困り顔だ。「警察庁や他県警と情報交換するなど連携を徹底し、万全の準備をしていきたい」と力を込めた。

 市は「NAGATO」の売り込みに知恵を絞る。会談が発表された2日には市ホームページのアクセス数が3232件とふだんの1・9倍に跳ね上がり、以降も1日平均約2400件で推移。広報課は「注目が高まっている」とし、観光ホームページを刷新する考えだ。観光課は、海外メディアを通じて魅力を伝えるため、山口大などに通訳派遣の協力を依頼する方針。ロシア語版の観光パンフレット作りも検討している。

 今浦功次企画総務部長は「まだ国や県から正式な連絡はないが、日程が近づけば横断幕などで歓迎ムードを高めたい」と意気込む。

(2016年9月15日朝刊掲載)

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