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米軍機破片 米国の遺族の元へ  広島の歴史研究家橋渡し

■記者 森田裕美

 原爆投下直前の1945年7月28日に呉沖などで旧日本軍の対空砲火を受け、撃墜された米軍機の一部とみられる金属板が広島市佐伯区の民家で見つかり、近く米国の乗員の遺族に送られることになった。被爆米兵の調査を続ける西区の歴史研究家森重昭さん(71)が橋渡しする。

 金属板は、ジュラルミン製(長さ約4メートル、幅約40センチ)とアルミ製(長さ約1メートル、幅約25センチ)の2枚。森さんが8月に確認し、所有者から託された。当時、呉空襲に参加し、広島県佐伯郡八幡村(現佐伯区)に墜落したB24爆撃機タロア号の翼や操縦席の部品とみられるという。

 タロア号は、搭乗していた11人のうち3人が捕虜となり、爆心地に近い中国軍管区司令部で被爆死したことが分かっている。森さんは「戦争の悲劇を伝える資料」として遺族らへ寄贈を検討。連絡が可能だったタロア号乗員の遺族4家族に9月、手紙を送った。

 返事があったオハイオ州とミシガン州の遺族に、アルミ製の金属板から約25センチ四方を2枚切り取って贈ることにした。オハイオ州のシャーリー・モアヘッドさん(81)さんは手紙に「乗員たちも天国から感謝していると思う」と記している。

 森さんは「遺族にお返しできることになり、ほっとしている」と話している。

(2008年10月29日朝刊掲載)

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