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原爆症認定 控訴断念を 原告団ら厚労省に要望

 広島と長崎で被爆した愛知県の4人のうち2人を原爆症と認め、国の却下処分を取り消した名古屋地裁判決を受け、原告団や日本被団協の役員たちは15日、厚生労働省を訪ね、認定制度を抜本改正し、控訴を断念するよう申し入れた。

 原告2人を含む14人が厚労省の担当者に会い、塩崎恭久厚労相宛ての声明文を手渡した。声明は、今回の判決が原告全員の病気に放射線の影響を認めたと指摘。「司法と行政の乖離(かいり)を解消するため、制度を抜本的に改善し、高齢の被爆者を裁判から解放すべきだ」と訴えている。非公開の懇談で、担当者は「上層部に伝える」と述べたという。

 判決は一方で、原告のうち2人について、手術から長期間たっていることなどを理由に治療の必要性を認めず、請求を棄却した。一行は申し入れ後に記者会見し、訴えを退けられた原告高井ツタエさん(80)=名古屋市=は「体のあちこちが悪く、人の手を借りないと生活もままならない。不服の気持ちでいっぱい」と話した。

(2016年9月16日朝刊掲載)

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