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活用・保存の声相次ぐ 呉の青山クラブ・桜松館使用中止

市民や海自出身者「歴史、文化地域に」

 「東洋一の水兵の家」と呼ばれた呉市幸町の「青山クラブ」と隣接する「桜松館」の使用が来春にも中止されることを受け、海上自衛隊出身者や市民からは、建物の有効活用や保存を求める声が相次いでいる。国は原則、解体せずに売却する方針だが、今後の活用については具体的に決まっていない。(浜村満大)

 旧海軍や防衛庁共済組合の宿泊施設として使われた青山クラブは、中庭を囲むようにコの字形に立つ。かつては宿泊室のほか、ボウリング場や宴会場、理髪店などもあった。海自隊呉音楽隊が練習拠点で使う「桜松館」は、映画や演劇の上演などでも使われた。

 青山クラブに事務所を置く県隊友会呉支部で会計担当を務める森本茂生さん(65)は「結婚式を開いたのが一番の思い出。以前はホテルが少なく、市内でもトップクラスの宿泊施設だった」と振り返る。同支部の宮川秀清事務局長(80)は「両施設ともに海軍からの歴史を受け継ぐ建物。後世に残す意義は大きい」と話した。

 両施設の近くには市立美術館や入船山記念館が立つ。市文化団体連合会の背戸昭典会長(75)は「日本遺産認定をアピールするため、市が一帯を伝統文化や歴史を発信する文化ゾーンとして整備してほしい」と期待する。

(2016年9月17日朝刊掲載)

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