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除染しながら燃料製造 松江の会社など福島で実験へ  

 東京電力福島第1原発事故の放射性物質を除染するため、松江市の設計コンサルタント会社「IBコンサルタント」(和泉敏太郎社長)は13日、地中の放射性セシウムを吸着した植物で新エネルギーを生み出す実証実験を、7月から福島県内で始めると発表した。バイオエタノール製造やガス発電で、被災地の雇用創出も目指す。(川上裕)

 実験は、2009年度に開発した小型装置を使い同県内でエタノールを精製する。放射性セシウムを多く吸着するイネ科のスイートソルガムの搾り汁や、国の基準値を上回って流通できないコメを発酵させる。エタノールにはセシウムは含まれず、自動車の燃料となる。

 さらに、エタノール製造後のかすなどを、汚染された稲わらや森林の木質チップと一緒に同県いわき市で焼却。その過程で発生させた合成ガスで発電するシステムも導入する。ただ、放射性物質を含む焼却灰の処分方法は決まっていない。

 呉市に生産拠点を置く製鋼メーカーやいわき市の廃棄物中間処理業者など7団体と共同実施。環境省の「除染技術実証事業」に採択され、補助金約2100万円を受ける。9月末に結果をまとめる。

 同社によると、スイートソルガムは土壌のセシウムを年間最大約2割吸着するという。実験用のスイートソルガムは同県内の約3ヘクタールで栽培し、8月下旬以降に収穫。コメは福島県産の約80キロを使う。

 和泉社長は「新エネルギーをつくる除染システムを確立して、多様な雇用も創出したい」と話している。

(2012年6月14日朝刊掲載)

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