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オスプレイ訓練計画 岩国飛来 なし崩しでは

 垂直離着陸輸送機MV22オスプレイを普天間飛行場(沖縄県)配備後、米海兵隊岩国基地(岩国市)で月に2、3日程度訓練する計画が明らかになった13日、地元岩国市などでは国への不信や怒りの声が渦巻いた。(大村隆、野崎建一郎)

 神風英男防衛政務官が岩国市役所を訪ね「岩国はあくまで陸揚げ施設」と強調したのは11日。組み立てて準備飛行を終えれば、オスプレイは沖縄へ向かう段取りだった。それが、わずか2日後には頻繁に戻ってくるという話にすり替わった。

 基地に隣接する同市車町の山県克彦・車第三自治会長は「むちゃくちゃな話。市は基地近くの住民の思いを聞いて判断すべきだ」と語気を強めた。

 岩国市議会でも13日、議員が「岩国に常駐する可能性もある。受け入れをはっきり断るべきだ」と福田良彦市長らに迫った。通常は米軍再編に協力姿勢の松本久次議長も「(陸揚げも岩国での訓練も)納得いかない。防衛相から直接説明を聞きたい」と注文した。

 山口県議会でも国の対応に批判が噴出。議会の意思を示す意見書案などの取りまとめの検討に入った。

 岩国市に環境審査の結果が届いたのはこの日午前11時ごろ。防衛省が15日、市に詳しく説明するという。市内外の激しい反発に、福田市長は「国から説明をしっかり受けてからでないと何も言えない」と述べるにとどまった。

 岩国に隣接する広島県でも不安や反発が広がる。「岩国基地の拡張・強化に反対する広島県西部住民の会」の坂本千尋事務局長は「重大な環境問題はない、という審査結果はごまかし。岩国には常駐化するのではという不安が募る」と話す。

 岩国基地への先行搬入計画の撤回を中国四国防衛局などに申し入れた「安保をなくす広島の会」の松村節夫事務局長は「オスプレイがいったん国内に配備されれば、どこを飛んでもおかしくない状況になる」と指摘した。

 一方、広島県国際課は「環境審査の内容はまだ聞いていない。近く中国四国防衛局から説明があると思う」と話している。

オスプレイ岩国先行搬入 意見書で意思表示へ 山口県議会

 山口県議会は13日、議会運営委員会を開き、垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの米海兵隊岩国基地(岩国市)への先行搬入計画に対し、県議会の意思を示す意見書をまとめる方針を決めた。

 議運の協議で、守田宗治氏(自民党・下松市)は「岩国錦帯橋空港(愛称)の開港日が決まった直後に計画が浮上し、憤りを感じている。議会としてしかるべき対応を考えるべきだ」。木佐木大助氏(共産党・下関市)も「沖縄を安心させるために岩国に先行搬入する手法は絶対許せない」と述べた。

 畑原基成議運委員長は本会議の議論を踏まえ、会派間で意見書案の文言などを調整する方針を示した。

 県議会は3月、在沖縄米海兵隊の一部を岩国基地へ移転する案に反対する意見書案を全会一致で可決。その中で、オスプレイの岩国基地での一時駐機にも反対している。

 また定例会の日程を20日から7月6日までの17日間と申し合わせた。県は2012年度一般会計補正予算案など38議案を提案する。(金刺大五)

(2012年6月14日朝刊掲載)

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