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言語道断/信頼できぬ 先行搬入浮上の岩国

 米フロリダ州での垂直離着陸輸送機CV22オスプレイの墜落事故を受け、オスプレイの先行搬入計画が浮上している岩国市では、米軍再編協力派も一層反対色を強めた。専門家は相次ぐ事故に構造上の欠陥を指摘した。

 米軍再編に協力姿勢の岩国市議でつくる「岩国基地問題に関する議員連盟」の桑原敏幸会長(64)は「4月のモロッコでの墜落に続いて、また。国がいくら釈明しようが信頼できない」と怒る。保守系会派では、先行搬入に反対する意見書案を開会中の市議会に提出する予定という。

 岩国爆音訴訟の会の津田利明共同代表(66)は「騒音だけでなく、こんな危険な航空機も加わるなど言語道断」と語気を強めた。13日に明らかになった沖縄配備後の飛行ルートについて触れ、「全国を飛び回るようなもの。国民全体が危険にさらされる」と危機感をにじませた。

 JR岩国駅前のパン製造販売業神高克彦さん(48)は「防衛目的で、そんな危険な航空機が来ること自体、理解できない。論外だ」と切り捨てた。

 軍事評論家の前田哲男さん(73)は「オスプレイはヘリコプターと飛行機の両方の機能を備えた新しい概念の輸送機。危険性は以前から明らかだった」としたうえで「この事故で沖縄への配備計画は打ち止めになるのではないか。それだけ深刻な事故だ」と指摘した。(大村隆、堀晋也)

廿日市市長 重ねて反対  広島市長も懸念

 米フロリダ州で起きた米空軍の垂直離着陸輸送機CV22オスプレイの墜落事故を受け、14日、海兵隊仕様の別型機の先行搬入や訓練が浮上している米海兵隊岩国基地に隣接する広島県でも波紋が広がった。

 廿日市市の真野勝弘市長は「(先行搬入は)市民の安心、安全が守れないと12日に外相などに要請文を出したばかり。オスプレイは事故が続いている」と指摘。「岩国などで毎月訓練があるとの情報もあり、常態化を危惧する。岩国基地を使用しないよう、引き続き求める」と反対姿勢を重ねて示した。

 広島市の松井一実市長は「防衛は国の政策なのでコメントは差し控えるが、地域で暮らしている住民の安全をないがしろにしてはならない」と述べ、住民の不安を取り除く必要性を強調した。岩国基地への先行搬入計画に対する態度は明らかにしなかった。

(2012年6月15日朝刊掲載)

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