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オスプレイ年500回運用 岩国基地 防衛省、市などに説明

 米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの環境審査報告書について、防衛省は15日、先行搬入計画のある米海兵隊岩国基地のある岩国市、隣接する広島県などに飛行の影響などを説明した。報告書では岩国基地での運用による環境への影響はないとしている。

 報告書は日本語訳で229ページ。沖縄に配備後、岩国基地では毎月2、3日、1度につき42回、年間約500回運用▽夜間飛行も計画▽運用数の増加は0・8%で、状況の変化はない▽より長期の訓練の可能性もある―などとある。岩国基地における騒音、大気質、生物資源など7項目の環境への影響は「なし」としている。

 岩国市と山口県には防衛省地方調整課(東京)の職員が説明に訪れ、岩国市では議会開会中の福田良彦市長に代わって基地政策課の担当者が話を聞いた。沖縄配備後の岩国基地の使用は「主に給油目的で、訓練の拠点はキャンプ富士(静岡県御殿場市)となる」などと説明されたという。

 福田市長は「(14日の墜落事故で)安全性、疑問、不安が増大した。今回の環境審査結果の説明で岩国への配備、揚陸手続きが進んだとは考えていない」と話した。

 広島県には中国四国防衛局職員が訪問。県国際課の担当者によると、先行搬入時の試験飛行先に広島県上空が含まれるかについて、防衛局側は「米軍からの情報はない」と答えたという。(大村隆、野崎建一郎、山田英和)

オスプレイ先行搬入 反対意見書 可決へ 岩国市議会 再編協力派も反発

 垂直離着陸輸送機CV22オスプレイが米フロリダ州で墜落した事故を受け、岩国市議会は15日、会派代表者会議で米海兵隊岩国基地(岩国市)への先行搬入に反対する意見書案の協議を始めた。国は米軍普天間飛行場(沖縄県)への配備手続きを当面は見合わせる方針だが、米軍再編に協力姿勢だった議員を含め、市議会は先行搬入に強く反発している。(大村隆、堀晋也)

 全9会派の代表によるこの日の会議では、最大会派の岩国クラブ(6人)や公明党議員団(4人)リベラル岩国(1人)が素案を提示。事実関係を詳細に盛り込んだ公明案を基に修正して一本化し、18日の代表者会議で最終決定する方針。22日の定例会最終日に追加提案し、全会一致での可決を目指す。

 意見書案にはオスプレイの安全性への懸念を明記。3月にMV22オスプレイの岩国一時駐機案が浮上した際、国が「オスプレイのことで岩国に迷惑をかけることはない」としたことなども盛り込み、先行搬入に明確な反対の意思を示す。

 公明党議員団の越沢二代代表は「市民の安全は必ず担保されなければならないという、議会の意思を示す」と説明した。

 米軍再編に協力姿勢の21市議でつくる「岩国基地問題に関する議員連盟」が12日に開いた総会でも大半が先行搬入に反対。「(配備は)対中国の切り札になる」と容認姿勢を示した議員もいたが、フロリダの事故後に「原因や安全性の確認がはっきりするまで待つべきだ」と慎重姿勢に転じた。

 政府もフロリダの事故を受け、当面の配備見合わせを表明しているが、基地機能強化に反対する田村順玄氏(リベラル岩国)は「計画が消えたわけではない」と警戒感を緩めていない。

オスプレイ 岩国搬入拒否 山口県に申し入れ 県労連など

 県労連や共産党県委員会でつくる「安保廃棄・岩国基地撤去県実行委員会」は15日、垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの米海兵隊岩国基地への先行搬入を拒否するよう求める申し入れ書を県に提出した。

 文書では、米フロリダ州で起きた墜落事故を踏まえ「安全性に重大な問題がある」と指摘。配備予定の米軍普天間飛行場の地元の反対は強いとして「岩国に長期駐機する懸念がある」としている。

 メンバーが県庁を訪問。対応した総務部の小松一彦理事は「安全性が確保されているか疑問で、搬入は反対と言わざるを得ない。計画は棚上げにしてほしいというのが県の基本的な考え方で、国にも伝えた」と答えた

(2012年6月16日朝刊掲載)

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