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鎮魂の黒色花火 ヒロシマ賞の蔡國強さんが表現

■記者 西村文

 第7回ヒロシマ賞(広島市など主催)に選ばれた中国人現代美術作家の蔡國強さんが25日、広島市中区の太田川河川敷から黒色花火を打ち上げ、原爆犠牲者への鎮魂と平和への願いを表現した。

 午後1時から90秒間、1000発を次々に打ち上げた。原爆ドーム後方上空に黒煙の固まりが生まれ、迫力ある演出に平和記念公園などで見ていた市民からは拍手が上がった。

 神奈川県から旅行で訪れたフリーター、木庭沙耶花さん(22)は「戦争のように強烈だった。平和の大事さを思った」。友人に被爆者がいる広島市東区、主婦岡本笙子さん(65)は「煙が黒い雨のようにも見えた。若い人に原爆の悲劇を伝えるためであれば、こういう表現があっても」と理解を示した。

 市内上空に「ピカッ」の文字を飛行機で描いた芸術家集団「Chim↑Pom(チン↑ポム)」リーダーの卯城竜太さん(31)も訪れ、「鎮魂のメッセージが伝わってきた。告知して市民に見てもらう努力が必要と再認識した」と話していた。

 広島市現代美術館(南区)で25日始まった受賞記念展の一環として企画された。

(2008年10月26日朝刊掲載)

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