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折り鶴 日米つなぐ 白島小児童のお手製 ブロンズに 米彫刻家、作品届ける

平和への思い 永久に持ち続けて

 被爆71年となる原爆の日を迎えた6日、広島市中区の平和記念公園を中心に、市内や周辺の各地で犠牲者を追悼する行事があり、平和を願う人々の営みが広がった。オバマ米大統領の広島訪問を機に、被爆の記憶をもっと伝えなければならないとの声が相次いだ。

 折り紙の千羽鶴が米国でブロンズ製に生まれ変わり、広島に舞い戻った。制作者は、米アリゾナ州の彫刻家ジョン・トゥオミストベルさん(52)。広島市中区の白島小の児童が折った折り鶴から型を取り、平和を象徴するアートに仕上げた。

 同小の登校日だった6日、体育館にブロンズの千羽を並べた。児童は両翼6センチほどの鶴を手に取り、見入った。同小を訪れたトゥオミストベルさんは「ブロンズなら永久に残る。平和への思いを永久に持ち続けてほしい」と伝えた。

 トゥオミストベルさんは、2012年に広島修道大(安佐南区)へ留学した長女から、被爆後の白血病により12歳で亡くなった佐々木禎子さんの話を聞いた。長女を介して知り合った平和記念公園を案内するピースボランティアの大下香さん(54)=安芸区=に昨年6月、被爆地の小学生が折った鶴をブロンズにする提案をした。

 大下さんがことし1月、同小に協力を呼び掛け、当時の5年生74人が3月までに千羽を超える折り鶴を折った。平和への願いをつづった英訳付きのメッセージカードと一緒に米国に送った。

 オバマ米大統領も5月の広島訪問の際、自作という折り鶴を残した。「大統領が初めて広島を訪れたタイミングと重なり、折り鶴のメッセージ性が強まった」とトゥオミストベルさん。今後、広島市や米国で展示を予定する。

 この日、6年生になった児童たちにはブロンズの鶴が1羽ずつ贈られた。安田奈々実さん(12)は鶴を見つめて言った。「平和は、きれいな物ですね」(渡辺裕明)

(2016年8月7日朝刊掲載)

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