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ヒロシマ8・6 オバマ氏訪問 評価・注文の声 市内の慰霊式

 オバマ米大統領の広島訪問から2カ月余り。市内各地で催された慰霊式では、多くの出席者が歴史的な訪問に言及し、評価や注文が入り交じった。

 「世界平和に向けた大きな節目。今、さまざまな立場の人がヒロシマを知ろうとしている」。旧制広島市立中(現基町高)の原爆死没職員生徒慰霊祭では、同高生徒会長の2年冨田真以さん(16)が力を込めた。関心の高まりを受け、「惨劇を若い世代が伝えていきたい」と誓った。

 県動員学徒等犠牲者の会原爆追悼式では、同会の井上公夫理事長(80)が「歴史の重いドアを開けた。被爆地がどう引き継ぐかが問われている」と述べた。

 一方で複雑な心情も浮かんだ。市立第一高等女学校(現舟入高)の慰霊碑前の式では、同窓会の河野保雄会長(63)が、北朝鮮の核開発などに触れ「核廃絶が進まないもどかしさを感じる」と訴えた。

 県立広島第一高等女学校原爆犠牲者追悼式に参列した大津正記さん(86)=西区=は家族6人を亡くした。「原爆は罪のない家族を殺した。(大統領の)謝罪の言葉が欲しかった」と漏らした。

(2016年8月7日朝刊掲載)

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