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安全性や騒音 質問相次ぐ F35B配備計画で岩国市議会全協 国、生活への影響否定

再編交付金の延長に含み

 岩国市の米海兵隊岩国基地に2017年1月以降、最新鋭ステルス戦闘機F35B計16機を配備する米計画を巡り、同市議会は27日、国の説明を受ける全員協議会を開いた。機体の安全性や騒音についての質問が相次ぎ、国側は「機種更新」として生活への影響がほとんどないとの見通しや日米同盟の抑止力向上を強調した。(野田華奈子)

 防衛、外務両省の担当者が出席し、宮沢博行防衛政務官が配備計画を説明。市議会全9会派から議員14人が質問に立った。

 米国外で初の配備となるF35Bは、17年1月にFA18ホーネット12機、同8月にAV8Bハリアー8機と入れ替わる予定。宮沢政務官は配備目的を「アジア太平洋地域を重視した米国の『リバランス政策』の一環」と述べ、「わが国にとっても抑止力は上がる」と説明した。

 「騒音など市民の基地負担が増す」との不安には、23日に県市への回答文書とともに示した配備前後の騒音予測図を基に、「陸側で騒音区域は拡大していない。機数は(4機)減り、飛行経路も変わらない」と述べた。

 安全性について「米軍任せだ」との指摘もあった。宮沢政務官は「政府独自での安全性の評価分析は考えていない」とする一方で、航空自衛隊に空軍仕様のF35Aを導入する計画に触れ、「日本人が乗るという決意は、国民の皆さんに(安全性を)理解いただく要因になると考えている」とした。F35Aが14年6月に米国で起こした火災事故の原因とされるエンジンの不具合は「技術的改善策が講じられている」とし、影響を否定した。

 在日米軍再編で、岩国基地には17年ごろまでに米空母艦載機59機の移転も計画される。国防への協力に対し、市などが繰り返し政府に求めている米軍再編交付金の延長について「特別措置法失効(17年3月)後の対応について、前向きに検討している」と言及した。

<F35B配備計画を巡る主な質問と国の回答>

■配備の目的や役割は 米国のリバランス政策の一環。日米同盟の抑止力を強化し、日本やアジア太平洋地域の安全に寄与する
■安全性をどう確認しているか 米政府が安全性、信頼性を確認したうえで量産が開始された。日本も(空軍仕様の)F35Aを購入し配備する
■騒音状況の変化はあるか 米側のデータなどを基に機種更新の前後で騒音区域を比較すると、海側では一部拡大しているが、陸側では拡大していない
■飛行経路や訓練場所は 機種更新の対象となるFA18ホーネット、AV8Bハリアーと同様の方法、場所での訓練が見込まれる。詳細は米軍の運用に関わるため承知していない
■岩国基地の配備機数はどう変わるか 岩国基地の現在の航空機数は米海兵隊約60機と海上自衛隊約40機を合わせた約100機。F35B16機の配備で、FA18ホーネットなど20機が国外移転するため4機減る

※県市の照会や全員協議会を基に作成

(2016年9月28日朝刊掲載)

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