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平和公園の全面禁煙 歓迎と困惑 18年4月から 広島市議会可決 

 国内外から多くの人が訪れる広島市中区の平和記念公園が2018年4月1日から全面禁煙になることが30日、決まった。市議会本会議で、議員提案による関連の改正条例が成立した。分煙政策を採ってきた市は今後、対応を検討する。被爆地には、歓迎と困惑が入り交じった。(和多正憲、坂本顕)

 この日、市議会10会派のうち8会派の幹事長が連名で「市ぽい捨て防止条例」の改正案を議員提案。本会議で代表者が、慰霊し、平和を祈る公共性の高い場である点を踏まえ、「受動喫煙の被害を防ぐ全面禁煙化が必要」と訴えた。採決では2会派が反対したが、賛成多数だった。

 同条例は従来、公園内を喫煙制限区域とし、屋外の公共の場所での喫煙を禁ずる一方、灰皿などがある場所を規制から除外。市は灰皿3基と喫煙ブースを設け一部での喫煙を認めてきたが、改正条例施行後は、灰皿の有無にかかわらず屋外は全面禁煙になる。吸えば千円の過料が徴収される。

 南区のボランティアガイド忍岡妙子さん(67)は「観光客にはきれいな空気の中で平和を感じてほしい」と歓迎。埼玉県から訪れた喫煙者の須賀賢さん(36)は「1カ所くらい吸える場所がないと、ぽい捨てが増えるのでは」と懸念した。

 公園内には08年度に55基の灰皿があったが、市は順次撤去してきた。ただ、全面禁煙には賛否が割れているとして「分煙」を維持。喫煙ブースは、14年8月に中国たばこ販売協同組合連合会(中区)から寄贈を受けた。

 市緑政課は「関係者と協議するかどうかを含め、今後の対応を検討する」。同連合会は「観光客のためにも分煙の喫煙所は必要。改正条例の施行までに公園周辺に設置できないか市と協議したい」としている。

(2016年10月1日朝刊掲載)

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