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被爆ピアノ 母校に響く ピアニスト森須さん 浜田で演奏会

 原爆の惨禍に遭いながら破壊を免れた被爆ピアノの演奏活動を2013年から続ける広島市中区のピアニスト森須奏絵(かなえ)さん(27)が30日、母校の浜田市松原小(同市浅井町)でコンサートを初めて開いた。(森田晃司)

 ピアノは1932年製で爆心地から約1・8キロで被爆した。森須さんは、演奏前に「修復して命が吹き込まれ、多くの人の思いが詰まったピアノ。持ち主の気持ちを考えて弾くので、家族に伝えてほしい」と児童に語り掛けた。

 ソプラノ歌手の大島久美子さん(48)=広島市安佐南区=と「原爆を許すまじ」「赤とんぼ」など7曲を披露。校歌を全校児童168人と合唱した。

 4歳でピアノを始め、小学5年から高速バスで広島市の教室に通った。浜田一中を卒業後、広島音楽高(広島市西区)、桐朋学園大(東京都)に進学。エリザベト音楽大大学院(同市中区)を修了した13年から、恩師の大島さんの誘いで被爆ピアノコンサートに携わり、年20回ほど全国で演奏している。

 「小5で音楽の道を目指し、いつか母校で弾きたいと思っていた。何度もやめようと思ったけど、壁を乗り越えたからこそ得たものがある」と夢を持ち続ける大切さを訴えた森須さん。「広島は第二の古里。微力でも多くの人に平和の大切さを伝えたい」と意気込んでいる。

(2016年10月1日朝刊掲載)

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