ヒロシマと莞蕾 平和の心 安来の加納美術館 企画展始まる 絵や書などで問い掛け
16年10月3日
原爆投下直後の広島の惨状や、安来市出身の画家加納莞蕾(かんらい)の世界平和への思いを伝える企画展「広島からのメッセージと加納莞蕾の想い」が1日、同市広瀬町の加納美術館で始まった。24日まで。(秋吉正哉)
「頼むからお父さんの所へ逝かせて」「学徒の僕たちが生きておられることのないのは覚悟しとったよ」―。被爆死した3人の衣服が、死の間際の言葉を記したパネルとともに並ぶ。原爆資料館(広島市中区)が2~4月に開いた企画展「最期のことば」で展示され、原爆の悲劇を伝えた資料をブースごと借りた。
ただ、「悲惨さを強調するだけにはしたくなかった」と同美術館の神英雄館長(61)。広島で原爆の被害を生き残り、建国200周年を記念して贈られた盆栽を米国人が取り上げた絵本「ヒロシマの平和の木」の原画16枚も並べた。
戦後フィリピンでの戦犯赦免に尽力した莞蕾の絵や書、書簡も展示。神館長は「莞蕾の『赦(ゆる)しがたきを赦す』精神の大切さを理解してもらえるようにした」と話す。
広島市佐伯区五日市から訪れた税理士唯山重夫さん(73)は「美術品と資料が一緒に見られるのは珍しい。両方から訴えるものがある」と見入っていた。
午前9時~午後4時半。火曜休館。一般千円、大学・高校生500円、中学生以下無料。
(2016年10月2日朝刊掲載)
「頼むからお父さんの所へ逝かせて」「学徒の僕たちが生きておられることのないのは覚悟しとったよ」―。被爆死した3人の衣服が、死の間際の言葉を記したパネルとともに並ぶ。原爆資料館(広島市中区)が2~4月に開いた企画展「最期のことば」で展示され、原爆の悲劇を伝えた資料をブースごと借りた。
ただ、「悲惨さを強調するだけにはしたくなかった」と同美術館の神英雄館長(61)。広島で原爆の被害を生き残り、建国200周年を記念して贈られた盆栽を米国人が取り上げた絵本「ヒロシマの平和の木」の原画16枚も並べた。
戦後フィリピンでの戦犯赦免に尽力した莞蕾の絵や書、書簡も展示。神館長は「莞蕾の『赦(ゆる)しがたきを赦す』精神の大切さを理解してもらえるようにした」と話す。
広島市佐伯区五日市から訪れた税理士唯山重夫さん(73)は「美術品と資料が一緒に見られるのは珍しい。両方から訴えるものがある」と見入っていた。
午前9時~午後4時半。火曜休館。一般千円、大学・高校生500円、中学生以下無料。
(2016年10月2日朝刊掲載)