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反核画家の原点に迫る 広島 四国五郎展始まる

 平和への思いを絵筆に託し、被爆地から訴え続けた画家四国五郎(1924~2014年)の原点に迫る「四國五郎の原爆 弟の被爆死」展が5日、広島市中区の広島県民文化センターで始まった。四国を敬愛する市民有志が企画した。11日まで。

 従軍とシベリア抑留を体験した四国は1948年、被爆で変わり果てた広島に復員。戦争が終わったら一緒に絵を描こうと誓い合った最愛の弟の被爆死を知り、その衝撃から画業の方向を定めた。

 会場では、平和のために生きる決意などをつづった絵日記風の自叙伝「わが青春の記録」から50ページ余りを抜粋し、パネルで紹介。四国が晩年、年齢を重ねた自身と少年のままの弟が並んでスケッチする様子を描いた油彩「写生する兄弟」をはじめ、弟の被爆が原点になった作品が並ぶ。

 来場した長男の光さん(60)=大阪府吹田市=は「直接原爆を知らない父が被爆体験にどう向き合ったか、残された多彩な表現から追体験してほしい」と話していた。(森田裕美)

(2016年10月6日朝刊掲載)

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