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核兵器ゼロ 決意新た 被団協「平和賞」届かず

 5月のオバマ米大統領の広島訪問で被爆者への注目が国内外で高まる中、ノーベル平和賞の受賞が取り沙汰された日本被団協には7日、受賞の知らせは届かなかった。引き続き、核兵器の惨禍を世界へ伝える決意を新たにした。

 「がっかりする必要はない。核兵器をゼロにするんが大事なんじゃから」。日本被団協の代表委員の一人で、広島県被団協の坪井直理事長(91)は、事務所が入る広島市中区の広島平和会館で記者会見し、落ち着いた表情で話した。

 2009年の受賞者であるオバマ氏が平和記念公園(中区)を訪れた際には握手し、廃絶へ共に努力しようと伝えた。この日も「恐ろしい核兵器をゼロにせえと世界にもっと知らしめないといけない」と訴え、12月に山口県を訪れるロシアのプーチン大統領が被爆地に立ち寄るのを期待した。

 東京都港区の日本被団協の事務所では会見場をしつらえ、幹部ら3人が待機していた。発表後、広島で被爆した岩佐幹三代表委員(87)は「受賞できたら、被爆者の死が無駄でなかったと証明されるのに。それが悔しい」と語った。日本被団協は今春に集め始めた、核兵器を禁止し、廃絶する国際署名約56万筆をこの日、国連総会第1委員会(軍縮)に提出。今後も、草の根の運動を進める。(水川恭輔、田中美千子)

(2016年10月8日朝刊掲載)

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