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被爆2ヵ月の資料館付近 旧日銀広島支店で写真展示 撮影地の遺構 15日公開

 広島市への原爆投下2カ月後に、米軍が今の原爆資料館本館(中区)付近で撮影した1枚の写真が、旧日本銀行広島支店(同)で公開されている。寺院や商店が立ち並んでいた旧中島地区の壊滅ぶりを克明にとらえた貴重なカット。ちょうど本館敷地で進む被爆遺構の発掘調査現場が15日に一般公開されるとあって、資料館は「71年前の惨状を考えるのに役立てば」と来場を呼び掛けている。(水川恭輔)

 写真は1945年10月29日の撮影。米軍の戦略爆撃調査団が現在の本館敷地辺りに立ち、南方面に向けて撮ったとみられる。市内有数の大規模寺院だった誓願寺の鐘楼の土台や、市民の憩いの場でカメが泳いでいた「ひょうたん池」の無残な跡が写る。

 資料館が米国立公文書館から2003年度に収集したが、これまでほとんど公開していなかった。旧日銀で開いている収蔵資料展にはこの写真を含め、「新収集写真」38点などが並ぶ。再来年3月まで(日にち未定)。無料。

 さらに資料館は、ほぼ同地点から原爆ドームを望む北東方面の1枚と、墓地が残る北西方面の1枚も入手。学芸課は「旧中島地区を空撮や高い建物から見渡したカットに比べて地上レベルから廃虚を間近に捉えた写真は少なく、3枚とも貴重だ」という。

 市は市文化財団に委託して昨年11月に本館敷地の発掘調査を始め、現在は誓願寺跡付近を発掘中。同財団も「写真を遺構の調査に生かしたい」としている。発掘現場は今月15日午前10時~午後4時半に自由に見学できる。

(2016年10月10日朝刊掲載)

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