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被爆者10人惨状つづる 「自分史」第5集を刊行 広島

 原爆被害者相談員の会(広島市中区)が「生きる 被爆者の自分史」第5集を発行した。広島で被爆した10人が苦難の半生や核兵器廃絶の訴えをつづっている。記憶の継承へ、広島県内の図書館などに配る。

 執筆者は、同会の募集に応じた71~91歳の男女各5人。昨年2月から約1年半、会合で書き方を教わったり、記憶のあいまいな点をソーシャルワーカーに資料で確認してもらったりして仕上げた。

 生後3カ月の時に爆心地から約2キロの自宅で被爆した川中宏子さん(71)=江田島市=は、親戚から聴いた当時の惨状や、髄膜腫などとの闘病について執筆。「一歩一歩教えてもらいながら平和活動に参加したい」と今の心境を記した。

 箕牧(みまき)智之さん(74)=北広島町=と寺尾興弘さん(75)=安佐南区=はそれぞれ、5月のオバマ米大統領の広島訪問を受けた核兵器廃絶への期待を書いた。被爆後にブラジルに渡った女性や、原爆孤児の支援に関わった男性の手記もある。

 千部を出版。相談員の会は「被爆者を生涯にわたって苦しめる核兵器の非人道性を考えてほしい」としている。同会Tel090(7375)1211。(水川恭輔)

(2016年10月10日朝刊掲載)

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