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旧呉海軍工廠 空襲体験生々しく 殉国之塔保存会が手記集

 旧呉海軍工廠(こうしょう)への空襲で犠牲になった人を弔う殉国之塔(呉市警固屋)の保存会が、空襲体験者たちの手記をまとめた冊子「殉国之塔 移設に伴う想い出の記」を作った。体験者が高齢化する中、悲惨さを後世に伝えるのが狙い。

 「ドッドドッと大波が押し寄せるような音」「生きてこの(防空)壕(ごう)を出られないかと思いながら心の中で“お母さん”と繰り返していた」。女子挺身(ていしん)隊として松山から来ていた女性は、友人3人を亡くした空襲を生々しくつづる。

 体験者29人を含む計32人の手記を収録。逃げまどう様子や恐怖、仲間を失った悲しみを記したものが多い。2008年に塔が現在地に移設されたのを機に会が編集を続けていた。故人を中心に過去の冊子から引用した部分もある。

 千部作り、地元の中学校などに配布した。50部程度残っており、保存会の三川博三会長(85)は「体験者でないと書けない生々しい記録。多くの人に読んでもらいたい」と願っている。事務局の江口義男さんTel0823(28)0964。(加田智之)

(2012年6月20日朝刊掲載)

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