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核廃絶求めメッセージ 東京 日本被団協が60周年式典

 日本被団協は12日、結成60周年の記念式典を東京都内のホテルで開いた。全国各地の被爆者組織の役員たち約160人が出席。核兵器廃絶を粘り強く訴えてきた道のりを振り返り、悲願の実現に向けた切実な願いを込めたメッセージ「世界の人々へ」を発表した。

 岩佐幹三代表委員(87)はあいさつで、「被爆者という運命を背負わされた私たちの闘いの道筋は、平たんではなかった」と回顧。核なき世界の実現にほど遠い現状を踏まえ、「やるべき仕事がまだある。命続く限り、頑張ろう」と訴えた。

 メッセージは藤森俊希事務局次長(72)が読み上げた。核を巡る国際情勢を踏まえ「核戦争の危機は高まっている」と指摘。「過ちを繰り返さないための平和のとりでを築くことが、原爆から生き残った私たちの使命だ」とし、被団協の提唱で始まった核兵器の禁止、廃絶を目指す国際署名への協力を求めている。

 広島県被団協からは副理事長3人が出席した。池田精子副理事長(84)は「他の被爆者と励まし合い、平和運動に身を投じたことで、自らも救われた」と活動の歩みを振り返り、「原爆にもたらされた苦しみは誰にも味わわせたくない。自分が役立てるうちは活動し続ける」と語った。

 日本被団協は1956年8月10日に長崎市で結成された。(田中美千子)

(2016年10月13日朝刊掲載)

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