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国際学会会議で被爆者が証言へ 放影研、米に派遣

 放射線影響研究所(放影研、広島市南区)は、16~19日に米ハワイである放射線影響学会の年次国際会議に、南区の被爆者、児玉光雄さん(84)を派遣する。近距離で被爆し、がんと闘ってきた体験から、核兵器の放射線がもたらす非人道的な被害を伝えてもらう。放影研が、被爆者を証言のために海外派遣するのは初めてという。

 児玉さんは、12歳だった広島一中(現国泰寺高)1年の時に爆心地から約870メートルの校舎で被爆。被爆者に増加が確認されている胃や皮膚などのがん手術を20回繰り返し、放影研の調査にも協力した。

 放射線の人体への影響を扱う同学会の年次国際会議には、例年、各国から大学教授たち500~千人が出席。児玉さんは放影研の研究者が発表する初日に、被爆による自身の細胞の染色体異常の画像を見せて約30分、英語で証言する。

 「核兵器は人類を破滅させると訴える」と児玉さん。放影研の丹羽太貫理事長は「研究者は被爆者を調査対象の集団としてみがち。個々の人生に原爆が及ぼしたとんでもない影響を知ってほしい」と話している。

(2016年10月14日朝刊掲載)

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