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森さんに菊池寛賞 広島の被爆米兵を調査

 日本文学振興会が13日、優れた文化活動に対して贈る第64回菊池寛賞の受賞者を発表し、うち一人に、広島市西区の被爆者で歴史研究家の森重昭さん(79)が選ばれた。

 森さんは8歳の時に被爆。戦後は会社に勤めながら広島で原爆に遭った米兵捕虜の調査を続け、12人が被爆死したと結論付けた。5月にオバマ米大統領が平和記念公園(中区)を訪れた際には訪問行事に招かれ、言葉を交わした。

 森さんは「研究の積み重ねを評価していただき、大変うれしい。オバマ氏の広島訪問を機に関心が高まった米兵の被爆死の実態について、国内外で伝える責任を一層感じる」と語った。

 賞金は各100万円。贈呈式は12月上旬に東京都内である。ほかの受賞者と主な理由は次の通り。(敬称略)

 ▽北方謙三=17年をかけて完結させた全51巻の「大水滸伝」シリーズで、平成の新たな読者を開拓した。

 ▽熊本日日新聞=水俣病に関する調査報道、オウム真理教に迫ったルポなど地域ジャーナリズムの担い手であり続け、4月の熊本地震でも、被災しながら責務を果たした。

 ▽池上彰とテレビ東京選挙特番チーム=視聴者目線で候補者の活動を解説し、選挙報道に新たな地平を開いた。

 ▽秋本治=連載漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」を、40年間一度の休載もなく描き続け、200巻で完結させた。

 ▽高橋礼華・松友美佐紀=リオデジャネイロ五輪決勝の逆転劇で国民を魅了し、日本バドミントン界に金メダルをもたらした。

(2016年10月14日朝刊掲載)

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