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呉教科書問題で住民ら市を提訴 広島地裁

 呉市立中学校の歴史、公民の教科書選定を巡り、同市の住民4人と市民団体「教科書ネット・呉」は13日、呉市教委が適正な手続きを踏まずに教科書を選定し、教員用教科書と指導書を公金で購入したのは不当として、市に購入費など83万円の返還を求める訴訟を広島地裁に起こした。

 訴えなどによると、市教委が昨年7月に育鵬社(東京)の教科書を採択するに当たり、選定の評価基準となる「総合所見」に誤りが計1054カ所あったと指摘。「育鵬社の教科書を高く評価するため、誤った評価がされ、データも改ざんした採択過程に違法性がある」と訴えている。さらに、選定委員が、教科書の調査研究でも重要な役割を果たし、委員の重複を禁じた規定に違反しているとした。

 原告の1人、是恒高志さん(62)は「子どもたちが使う教科書の採択に違法な手続きがなされ、検証もされないままであるのはおかしい」と話している。

 一方、呉市教委は「訴状が届いておらず、内容が分からないためコメントは差し控える」としている。

(2016年10月14日朝刊掲載)

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