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島根原発オフサイトセンター 代替拠点の議論停滞

 中国電力島根原子力発電所(松江市鹿島町)で事故が起きた際の対策・指令拠点となる県のオフサイトセンター(同市内中原町)の代替拠点設置場所をめぐる議論が停滞している。島根県が福島第1原発事故後すぐに原発20キロ圏外に移す検討を始めたが、1年以上たった今も、センターを管理する国が新たな設置基準を示さず、候補地を絞れていない。(樋口浩二)

 センターは原発から約9キロの県庁そば。県はセンターが機能不全に陥った時の代替拠点を同13キロの県松江合同庁舎(同市東津田町)会議室としている。だが、福島の事故では原発20キロ圏が避難指示区域となり、原発約5キロのセンターは機能しなかった。事故を受け、県は代替拠点を20キロ圏外に移す方針でいた。

 その後、原子力安全委員会が3月にセンターの機能を30キロ圏を目安に分散して配置する指針案を決定。しかし、具体化を担うはずだった原発の規制組織は今も設立できないままだ。ようやく5月に専門家会議が基準見直しの議論を始めたが、協議は中断。対応を急ぐ自治体の足を引っ張る形となっている。

 一方、代替拠点ではなく本拠地の安全性を不安視する向きも強まる。北陸電力志賀原発(石川県志賀町)の事故を想定した避難訓練を9日に実施した石川県は、原発約5キロのセンターを使わず約55キロの県庁を拠点とした。

 また島根原発30キロ圏に約9万人が住む出雲市は近く県に、事故発生時の本拠点の同市内への設置を国に働き掛けるよう求める。森山靖夫防災安全管理監は「福島をみても原発から9キロでは危ない。県民のリスク低減に協力したい」とする。

 県総務部の細田晃参事は「センターが担う機能によって候補地も変わる。設置場所と併せて早く国が示してほしい」と求めている。

(2012年6月22日朝刊掲載)

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