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原爆資料館 新着展に101点 焦げた形見 反核訴え

 広島市中区の原爆資料館東館で21日、昨年度に寄贈された被爆者の遺品などを紹介する「新着資料展」が始まった。黒く焦げた弁当箱や写真など101点が並び、原爆の悲惨さを訴えている。

 弁当箱は呉市倉橋町の加納恒治さん(81)が寄贈した。12歳の時、中島新町(現在の中区中島町)で建物疎開の作業中に被爆し行方不明になった弟幸治さんの形見の品。加納さんは原爆投下3日前、倉橋町に帰省した幸治さんに広島へ戻るよう促したことを悔やみ続け、弁当箱を仏壇に置いて手を合わせてきた。

 福山市の谷口允昴(みつたか)さん(28)は2年前に88歳で亡くなった祖父達人さんが残した写真62点を寄せた。原爆で両親ときょうだい3人の家族全員を失った達人さん。展示された14点には原爆投下前、笑顔の家族や日常の暮らしが写る。谷口さんは「原爆に人生を奪われた人がいたと知ってほしい」と話す。

 原爆死没者の慰霊碑に供養の献水を続け、2月に93歳で亡くなった宇根利枝さんの遺品の人形もある。宇根さんの夫が戦後、市内で見つけた人形という。

 新着資料展は今回で16回目。昨年度は48人から計268点の資料が寄せられた。無料。来年6月16日まで。(田中美千子)

(2012年6月22日朝刊掲載)

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